原著 日血外会誌 13:7-12,2004 

Externally Supported Knitted Dacron Graftによる大腿-膝窩動脈バイパス術 -20年の成績-

三井 信介1,森   彬2,山岡 輝年3,江口 大彦1
1 新日鐵八幡記念病院血管外科
2 福岡記念病院外科
3 福岡市民病院外科


要  旨:Externally supported knitted Dacron graft(EXS)による大腿-膝窩動脈(FP)バイパスの20年の成績を報告する.1982年から2001年までに閉塞性動脈硬化症に対し,206例238肢にEXSを用いてFPバイパスを施行した.早期閉塞は2例,いずれもrevision手術で二次開存をえた.術死は 0 であった.グラフト一次 / 二次累積開存率は 2,5,10,15年でそれぞれ76 / 83%,65 / 71%,47 / 58%,33 / 41%であり,一次開存の有意危険因子は吻合部位(膝下),手術適応(救肢手術),末梢runoff(Rutherford runoff score > 6 点)であった.有意危険因子についてEXSと自家静脈グラフトの開存率を比較すると,膝下吻合例,救肢手術例ではEXSが明らかに劣っていたが,膝上吻合例,間歇性跛行例,また末梢runoffのscoreにかかわらず,開存率に差はなかった.救肢率は 5,10年で86,55%,生存率は 2,5,10,15年でそれぞれ87%,62%,31%,15%であった.グラフト閉塞89本中34本(切迫閉塞15,完全閉塞19)にrevision手術が行われ,再手術後の 1,5 年開存率は切迫閉塞例で73%,49%,完全閉塞例で56%,49%であった.主な閉塞原因は吻合部狭窄,inflow悪化であった.EXSによるFPバイパスの成績は膝上膝窩動脈吻合例,間歇性跛行例では良好でEXSを第一選択としてよいが,膝下膝窩動脈吻合例,救肢手術例では不良で,第一選択とすべきではない.長期開存のため,定期的検査によるグラフト不全の早期診断,早期revision手術は重要である.

索引用語:EXS,大腿-膝窩動脈バイパス,閉塞性動脈硬化症