原著 日血外会誌 13:537-543,2004 

大腿―大腿交叉バイパス術の10年長期成績

戸島 雅宏,小沼 武司,遊佐 裕明,星野 修一,西谷  泰
富山県立中央病院心臓血管外科
* 現 かみいち総合病院血管外科


要  旨:【目的】腸骨動脈病変に対する血管内治療の発達がめざましい現在,大腿―大腿交叉バイパス(以下FFバイパス)術の10年長期成績をしらべ,本術式の意義を検討した.【対象と方法】19年間に当科で施行したFFバイパス術45例(平均年齢66歳)を対象に,累積生存率,累積開存率を各項目別に検討した.【結果】10年生存率52%に対し10年一次開存率81%,二次開存率85%と良好な開存率であった.65歳以下の跛行群でも開存率は生存率より良好であった.10年一次開存率と各項目の検討で,術前症状(跛行 vs 重症虚血,88% vs 56%,p = 0.04),グラフト直径(8mm vs 6mm,91% vs 0%,p = 0.004),吻合型(S型 vs 逆C型,89% vs 39%,p = 0.01)に差異を認めた.ステップワイズ分析でグラフト直径に有意差を認め,6mm径グラフトは 8mm径グラフトに比べ約 9 倍閉塞リスクが高くなる結果であった.ドナー腸骨動脈血管内治療有無,グラフト材質,末梢血管病変残存有無と開存率に差異を認めなかった.【結語】FFバイパス術の工夫は直径 8mmの人工血管を使用することが必要条件で,間歇性跛行例および両側腸骨動脈病変(一側閉塞,他側狭窄)例に適応を拡大し,血管内治療と組み合わせて積極的に選択されてよい術式と考えられた.

索引用語:大腿―大腿動脈交叉バイパス,グラフト直径,ドナー腸骨動脈血管内治療,10年開存率