F-1-26
第31回 日本血管外科学会総会
総大腿動脈における血栓内膜摘除術
神戸労災病院心臓血管外科
脇田  昇,松本  倫,井上 享三
坂田 雅宏,顔  邦男
 総大腿動脈における単独の動脈硬化性病変は,その頻度は少ないが部位的に特徴があり,治療方針,術式も異なっている.今回,総大腿動脈(CFA)から浅大腿動脈(SFA),深大腿動脈(DFA)分岐部にかけての動脈硬化性病変に対して,血栓内膜摘除術(Endarterectomy)を施行したので,その成績について報告する.対象:1992年から2002年までの10年間に,CFAを中心として,血栓内膜摘除術のみを行った27例(31肢)を対象とした.他領域のバイパス手術に際して,同部の血栓内膜摘除を行った症例は除いている.男性20例,女性 7 例.年令は53歳から81歳,平均68.8歳である.右側13例,左側10例,両側が 4 例であった.血液透析を行っている症例が 5 例であった.術前の症状はFontaine 2 度が24例,3 度が 2 例,4 度が 1 例であった.間歇性跛行の症例もほとんどが200m以下の重症例であった.術前のAnkle pressure Indexは0.34から0.68(平均0.48)と 1 領域の動脈硬化性病変にしては低値であった.術前の血管造影では狭窄病変が19箇所,閉塞12箇所であった.手術は,CFAおよびSFA,DFA分岐部を露出する.ソケイ靭帯より中枢側まで病変がある場合にはソケイ靭帯を切離せず,上方へ強く牽引して,病変の軽度な外腸骨動脈末梢まで露出して,動脈遮断を行う.末梢は病変に応じてSFAは分岐部から数cm,DFAは内膜肥厚が消失する部位まで血栓内膜摘除術を行った.内膜に石灰化を伴って,石のように硬くなっている場合もあり,外膜を傷つけないように注意深く剥離する.動脈切開はパッチ形成を行わず,直接縫合閉鎖した.術後は全例で開存,症状の軽快を認め,術後造影では動脈内径はほぼ前後と同じになっていた.現在まで再閉塞例を認めていない.総大腿動脈の病変はカテーテルによる治療が困難であり,病変部位に対する広範囲の直達手術,特にパッチ形成を用いない血栓内膜摘除術は,術後経過も順調で選択すべき治療方法と考えられた.