| 【はじめに】交通外傷による膝窩動脈損傷では骨折や関節・筋損傷などの複雑な病態を併発し,治療に難渋するとの報告がある.今回,当科で経験した交通外傷による膝窩動脈損傷 6 例の治療成績を検討したので報告する.【症例 1】20歳,女性.バイク転倒にて左脛骨・腓骨開放骨折し観血的整復術 2 日後,当科紹介.膝窩動脈は完全断裂し閉塞していた.血行再建後,感染壊死にて膝上切断.【症例 2】18歳,男性.バイク転倒にて右大腿骨骨折,左脛骨・腓骨開放骨折し観血的整復術24時間後,当科紹介.膝窩動脈は完全断裂,閉塞.血行再建後,感染壊死にて膝上切断.【症例 3】68歳,男性.歩行中,車に衝突され左大腿骨骨折,左膝開放性骨折し観血的整復術12時間後,当科紹介.膝窩動脈は伸展され完全閉塞していた.血行再建後,左足関節拘縮となった.【症例 4】21歳,女性.乗用車自爆にて右膝関節脱臼し整復術10日後,当科紹介.膝窩動脈は伸展され完全閉塞していた.血行再建後,左膝関節の拘縮となった.【症例 5】47歳,女性.乗用車自爆にて左脛骨・腓骨骨折,左膝開放骨折し観血的整復術 4 日後,当科紹介.膝窩動脈は伸展され完全閉塞していた.血行再建後,感染壊死にて膝上切断.【症例 6】59歳,女性.歩行中車に衝突され左脛骨・腓骨骨折し整形外科搬送後直ちに当科紹介.膝窩動脈は不完全断裂し伸展され完全閉塞していた.血行再建後虚血症状は改善され,後日観血的整復術を施行し経過良好だった.【結語】全例膝窩動脈は完全閉塞しており自家静脈にて血行再建した.5 例は整復術後,血行再建術を行っていた.うち 3 例が感染,壊死から下肢切断し,2 例が足・膝関節に拘縮を認めた.血行再建を先行した 1 例は経過良好であった.交通外傷による膝窩動脈損傷では虚血症状が遅発性に発症しやすいため,可及的迅速に膝窩動脈損傷を診断し,血行再建術を整復術に先行し行うことが重要と考えられた. |