G-2-26
第31回 日本血管外科学会総会
腋窩動脈―両側大腿動脈バイパス感染の 3 例
名古屋第一赤十字病院血管外科
相川  潔,山本 清人
 今回われわれは感染した腋窩動脈─両側大腿動脈バイパス(以下Ax-biF BPG)に対してグラフト切除術,血行再建術を施行した 3 例を経験し,うち 2 例でグラフト切除後の静脈パッチ部の破綻をきたし緊急手術を要したので報告する.
 【症例 1】67歳女性.腹部大動脈鞍状閉塞症に対して右Ax-biF BPG施行後グラフト感染を合併し,グラフト全切除術,大動脈腸骨動脈内血栓除去術を施行.術後13日目に右総大腿動脈パッチ閉鎖部のMRSAによる感染破綻を合併したため右外腸骨動脈─右浅大腿動脈自家静脈バイパス術を施行した.
 【症例 2】68歳男性.左Ax-biF BPG閉塞に対して開腹下大動脈─両側腸骨動脈バイパス術を施行.術後,正中創感染から閉塞した左Ax-biF BPG右脚感染を合併し,グラフト部分切除術,右大腿動脈パッチ閉鎖術を施行.術後10日目にパッチ閉鎖部のMRSA感染破綻を合併し,右外腸骨動脈─右浅大腿動脈自家静脈バイパス術を施行した.
 【症例 3】71歳男性.1 年前に施行されたAx-biF BPG,右大腿動脈─右膝上膝窩動脈バイパスグラフト感染に対してグラフト全切除術,左腋窩動脈─左大腿動脈バイパス術,交叉型左大腿動脈─右膝上膝窩動脈自家静脈バイパス術を施行した.術後創より排液続いたが自然に治癒した.3 症例とも感染はコントロールされ血流も問題なかったが症例 1 は虚血性腸炎により死亡した.他の 2 症例は現在感染の徴候なく外来通院中である.
 【考察および結語】大腿動脈に吻合した人工血管にMRSA感染が生じた場合,吻合部を含めたすべての人工血管を切除するか,吻合部を一部残して人工血管の断端を閉鎖する術式をとるか統一した見解が出ていない.しかし,われわれの経験では吻合部を含めた人工血管切除術,静脈パッチ閉鎖術は感染による破綻の可能性が高いと思われた.