S4-5
第31回 日本血管外科学会総会
大腿─膝窩動脈(F-P)バイパス術の遠隔期成績─ePTFE人工血管の開存率向上にDAPPは有用か─
山口大学医学部器官制御医科学講座(第 1 外科)
古谷  彰,斎藤  聰,大楽 耕司
秋山 紀雄,吉村 耕一,竹中 博昭
濱野 公一
 【目的】1)F-Pバイパスの使用グラフト別遠隔期開存率(10年開存率)を検討し,問題点を明らかにすること.2)ePTFE人工血管における遠隔期開存率の向上にDistal Anastomosis with patch angioplasty(DAPP)が寄与するか否かを検討すること.【対象】自家静脈(SVG群)は59肢(膝上30,膝下36)に用いられた.ePTFE人工血管は107肢に使用され,その内訳はDAPPを併用しなかったePTFE-direct群66肢(膝上30,膝下36)に対し,併用したePTFE-DAPP群41肢(膝上24,膝下17)であった.平均観察期間は,SVG群;75ヶ月,ePTFE-direct群;50ヶ月,ePTFE-DAPP群;30ヶ月であった.【結果】1)グラフト別 1,3,5,10年累積開存率は,SVG群:89.3%,78.8%,76.3%,61.8%に対しePTFE-direct群:86.8%, 72.1%, 53.4%, 48.5%とePTFE-direct群で低値を示した.2)末梢側吻合部別検討:SVG群では膝上膝窩動脈;80.9%,76.9%,76.9%(3,5,7 年累積開存率)に対し,膝下膝窩動脈;75.4%,75.4%(3,5 年累積開存率)と吻合部位による差はなかった.一方で,ePTFE-direct群では3 年累積開存率は,膝上膝窩動脈;84.0%に対し,膝下膝窩動脈;61.8%と膝下膝窩動脈で有意に低かった.(p=0.02)3)DAPP:ePTFE-DAPP群の3,5 年累積開存率は,91.1%,85.7%でePTFE-direct群に比較し有意に良好であった.(p=0.03;odds比 2.81)末梢側吻合部位別検討では,膝上膝窩動脈;95.2%,87.6%(3,5 年累積開存率)に対し,膝下膝窩動脈;83.8%(3 年累積開存率)と膝下膝窩動脈での開存率も良好であった.4)閉塞時期:術後 1 年以内の閉塞症例は,ePTFE-direct群の 8 肢に対し,ePTFE-DAPP群では 1 肢のみであった.【結語】ePTFE人工血管を用いた大腿─膝下膝窩動脈バイパスの遠隔期開存率は低く,慎重に選択しなければならないと思われた.DAPPは早期閉塞を予防し,遠隔期開存を向上させる可能性が示唆され,自家静脈を用いることができない症例での手術選択肢となりうると考えられた.