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第31回 日本血管外科学会総会
Ao-F-Pバイパス術後の人工血管感染に対する血行再建術
金沢大学医学部心肺・総合外科
加藤 寛城,木村 圭一,永峯  洋
大竹 裕志,大村 健二,渡邊  剛
 【はじめに】人工血管感染は最も重篤な術後合併症一手である.その治療戦略は,感染の部位・程度により異なってくる.また術前診断に加え,術中の所見が再建術式に大きく影響を与える.今回,我々は大動脈─膝窩動脈(AK)バイパス術後の重症人工血管感染症例を経験したのでビデオにて供覧する.【症例】症例は74才の女性,閉塞性動脈硬化症に対し平成10年に大動脈─右総大腿─右膝窩動脈(AK)バイパス術が施行されていた.平成14年 7 月18日,右そけい部の腫脹,発熱を主訴に近医を受診し,人工血管感染・敗血症と診断された.術前検査では感染は人工血管のほぼ全長に及び,そけい部を中心に周囲に膿瘍形成が認められた.【手術】入院翌日に手術を施行した.全身麻酔下に開腹し,人工血管を切除した.中枢端は感染が及んでいないと判断し,断端形成した.右そけい部,膝窩動脈吻合部は大きな膿瘍形成が認められたため,デブリードマンを施行し十分に洗浄した.次いで右腋窩動脈より右そけい部の外側を経由し,膝窩動脈(同じくAK)にringed EPTFE(8 mm)を用い,再バイパス術を施行した.右そけい部は開放創とした.術後約2ヶ月間,抗生剤を投与し退院となった.【考察とまとめ】1.人工血管感染に対する再建に対しては術前診断に加え,術中の所見が術式に大きく影響を与えると考えられた.2.Extra-anatomical bypassは有用であるが,膝窩動脈(AK)までが限界であり,より末梢の再建は困難と考えられた.