SY1-2
第33回 日本血管外科学会総会
片側性腸骨動脈病変に対する大動脈(腸骨)−大腿動脈バイパス術の長期予後についての検討
九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科)
小野原俊博,松本 拓也,群谷 篤史
前原 喜彦
【目的】大動脈・腸骨動脈閉塞症で片側性腸骨動脈病変に対する血行再建術,特に,大動脈(腸骨)−大腿動脈バイパス(AF),の長期予後について,同側大腿動脈と対側動脈病変の既往および予後も考慮し検討を行った.【対象・方法】1985年から2003年までの片側性腸骨動脈病変に対する血行再建術症例191例(男性169例,女性22例,平均67歳)を対象とした.術式は,AF群132例,大腿−大腿動脈バイパス(FF)群37例,腋窩−大腿動脈バイパス(AxF)群22例であり,AF群でダクロン製,AxF群とFF群でePTFE製人工血管を使用した.手術適応は,跛行165例,救肢26例であり,病変の形態はTASC分類B型 6 例,C型17例,D型168例であった.長期成績(グラフト開存,救肢,生存)について検討し,術式の比較は単変量解析を行い,AF群における危険因子の群間比較は多変量解析まで行った.【結果】全症例の一次開存率は,5 年90%,10年77%であった.AF群では,56例の浅大腿動脈閉塞例があり,大腿−膝窩動脈バイパス(FP)などの浅大腿動脈血行再建37例および大腿深動脈形成11例を同時施行した.経過観察中,FP 7 例が追加,仮性動脈瘤手術 2 例が行われ,また,対側肢の血行再建術11例,肢切断 1 例が行われた.一次開存率は,5 年92%,10年77%であり,FF群(5 年97%)と同等で,AxF群(5 年65%)より有意に良好であった.救肢目的および浅大腿動脈閉塞例で予後不良であったが,同側・対側の血行再建の既往やFP同時施行は開存率に影響しなかった.生存率(5 年88%),救肢率(5 年98%)で,術式間の差はなく,適応と同側・対側の血行再建の既往が生存率に影響していた.【結論】多くは血管内治療の適応外症例(D型)に対する手術であったが,その長期成績は良好であった.同側の浅大腿動脈および対側動脈病変に対する同時または将来の治療を考慮して,FP同時施行も含め総合的に術式を選択する必要があると思われた.