GLO8-4
第34回 日本血管外科学会総会
交差式大腿-大腿動脈バイパスにおける腸骨動脈血管形成術の役割
国立病院機構金沢医療センター心臓血管外科1
同臨床研究部2
遠藤 將光1,守屋真紀雄1,笠島 史成1
川上 健吾1,松本  康2,佐々木久雄2
 【目的】腸骨動脈の血行障害には血管形成術(以下PTA)が第一選択で,近年では狭窄のみならず閉塞にも積極的に導入している.しかし閉塞例での初期成功率は当科でも約80%であり,不成功例にはF-Fバイパス(以下F-F)を行ってきた.その中で最近対側腸骨動脈にも病変が増加し,対側PTA+F-Fが多くなってきた.今回はF-FにおけるPTAの役割につき検討した.【方法】1997年よりPTAを導入し昨年12月までに行ったF-Fは49例で,うち16例,34%にPTAを同時に施行した.術後は全例に抗血小板剤,広範囲閉塞の13例,27%にワーファリンを追加した.退院後は全例血管エコーで定期的に追跡している.これらをPTA+F-F 16例(PTA有り群)とF-Fのみの33例(PTA無し群)とに分けそれぞれの遠隔成績を検討した.【成績】PTA有り群ではグラフトおよび腸骨動脈の閉塞・狭窄は無く,肺炎による死亡 1 例のみであった.PTA無し群では閉塞 3 例(半年,46ヶ月,53ヵ月),と 7 ヵ月後に腸骨動脈狭窄が 1 例であった.閉塞の 2 例は腸骨動脈・グラフト双方の急性閉塞で血栓除去にPTAを追加した.他の 1 例は慢性グラフト閉塞で再F-Fを施行した.狭窄例にはPTAを行い,閉塞例を含め全例再開通している.遠隔死亡は 4 例(肺炎 1 例,不明 3 例)であった.PTA無し群の一次開存率は 5 年で77.9%,無し群の二次,有り群の一次は共に100%であったが両群間に有意差は無かった.【結論】両群に有意差は無かったが,PTA有り群の方が良好な結果であった.無し群の再手術 4 例中 3 例は腸骨動脈の病変進行が関係したと考えられ,F-F時に流入動脈を確実に確保しておくことが成績向上につながると考えられた.また,血管エコーで経過観察していても腸骨動脈の病変進行が狭窄の時点で捉えられたのが 4 例中 1 例のみであり,観察期間・対象を再考している.