会長挨拶

ごあいさつ


第40回日本血管外科学会学術総会
会長 天野 純
信州大学医学部外科学講座心臓血管外科

 このたび,第40回日本血管外科学会学術総会を,平成24年5月23日(水)~25日(金)の3日間,長野市の長野ビッグハット,若里市民文化ホールおよび長野県社会福祉総合センターにて開催させていただくこととなりましたことは,大変名誉なことと感謝申し上げます.

 まず,このたびの東日本大震災・福島原発事故,長野県北部・中部地震など,未曽有の大災害にみまわれ復興に向けて頑張っておられる方々に心よりお見舞いと激励の言葉を申し上げます.

 第40回日本血管外科学会学術総会のメインテーマを,
“ ALL FOR ONE ” -血管外科の新時代-
とさせていただきました.

 近年,医学・医療の進歩はめざましく,とくに血管外科を取り巻く進歩はここ数年科学技術などの進歩と歩調を合わせて飛躍的に発展し,血管外科医だけでなく,さまざまな職種や組織の人たちとの連携によって医療が成り立ち,ひとり一人の患者さんのために血管チーム・vascular team全員が全力を尽くして集学的かつ多方面から診療に当たり,生命予後の改善とQOLの向上につなげる新時代が到来したものと考え,その成果を世界に向けて発信することはきわめて意義深いものと考えます.

 今総会では,メインテーマを踏まえ,5つのシンポジウム,4つのビデオシンポジウム,7つのパネルディスカッション,特別企画として「血管外科のOCN:Opinions, Comments & News」,その他要望演題などを募集いたしましたところ,全国の皆様から800題を超える多数のご応募をいただきました.プログラム委員の先生方に大変なご努力を賜り口演やポスターにできるだけ多くご発表していただけるように配慮いたしました結果,テーマの血管外科の新時代を象徴する盛りだくさんのプログラムとなり,2日間の会期で開催するには多少時間がタイトとなり,ご参加の皆様方には大変ご迷惑をおかけいたしますが,何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます.

 特別講演は,長野県だけでなく,日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)を設立され原発事故に関して国際的な活動をされ人類の医療・福祉に多大な貢献をされるとともに,このたびの東日本大震災に際しても献身的な努力を傾けられておられる鎌田實先生に「生きているってすばらしい -命,血管,絆が大切-」と題してご講演いただきます.招請講演は,米国からMatthew J. Eagleton,Dennis R. Gable, Manish Mehta,ドイツからJan Brunkwall,Curt Diehm,英国からMatt Thompson,イタリアからGermano Melissanoの各先生に,教育講演を大阪市立大学・上田真喜子先生,信州大学・池田宇一先生,神應透析クリニック・神應裕先生にお願いいたしました.

 血管疾患の基礎から臨床,手術から血管内治療,さらには再生医療など多岐にわたるテーマについて,できるだけ日常診療に役立つとともに,新しい時代の血管外科が医学・医療の進歩そのものを反映しており,明日の血管外科を担う若い先生方にとっても実り多い学術集会となることをめざし,ビデオセッションやOCNなどでは,先輩諸兄やその道のエキスパートの具体的な手術や工夫,問題点,そして診療に対する考え方や哲学を学ぶ企画をいたしました.

 長野市は,善光寺を中心とした古い門前町で,周辺の須坂市,小布施町などとともに歴史と文化が薫る豊かで美しい街で,自然に囲まれた“みすずかる信濃”の県都です.学会場の長野ビッグハットは1998年に開催された第18回冬季オリンピック大会ではアイスホッケー会場として使用されました.

 5月下旬,信州は,一年でもっともすばらしい新緑の季節を迎えますので,長野にて皆様とお会いできるのを教室員一同,心よりお待ち申し上げております.